鼻づまりの原因
鼻の空気の通り道が狭くなっていると「鼻がつまっている」ように感じます。
鼻づまりによって寝れない、口呼吸になる、集中できないといった二次的な影響も懸念されます。特に長引く場合には、大人の場合であれば仕事に、子供の場合であれば学業に影響することも少なくありません。
鼻づまりの原因には、以下のようなものが考えられます。
鼻の粘膜が腫れている
鼻の粘膜が腫れていると、空気の通りが悪くなり、鼻づまりが起こります。
アレルギー性鼻炎、風邪、急性・慢性副鼻腔炎、肥厚性鼻炎、妊娠性鼻炎などによって起こることが多くなります。
鼻水の分泌が過剰
鼻水が過剰に分泌され、鼻の中で固まったり留まったりしていると、空気の通りが悪くなり鼻づまりを感じます。鼻水によって炎症がさらに悪化して腫れる悪循環に陥ることもあります。
アレルギー性鼻炎、風邪、急性・慢性副鼻腔炎などによって起こることが多くなります。
鼻中隔湾曲症
鼻の左右の穴を隔てる壁、鼻中隔の湾曲によって鼻づまりなどの症状を起こす病気です。
手術による根本的な治療が必要になることもあります。
鼻ポリープ・腫瘍
副鼻腔にできた鼻ポリープが鼻腔に飛び出て、空気の通りを悪くして鼻づまりを起こします。
手術による摘出が可能です。副鼻腔炎に伴う1つの症状として発現することが多くなりますが、乳頭腫という良性腫瘍であるケースも見られます。
異物
米などの食べ物、ティッシュの切れ端、おもちゃの部品などが鼻の中にあると、鼻づまりを感じます。異物が粘膜を刺激して炎症・腫れの症状を起こし、鼻づまりが悪化することもあります。
上咽頭の腫れ
鼻と喉のあいだの上咽頭(鼻咽頭)の腫れによって空気の通りが悪くなり、鼻づまりを起こします。
アデノイド、鼻咽腔血管線維腫などによって起こることが多くなります。ごく稀ではありますが、上咽頭がんによって腫れることもあります。
鼻づまりの症状
鼻づまりの症状にも、いくつか種類があります。また、他の鼻・喉の症状を併発することもあります。
何らかの病気を原因としていることもありますので、早めに受診しましょう。
主な症状
- 片方の鼻だけつまる
- 両方の鼻が交互につまる
- 青っぽく粘り気のある鼻水が出る
- 鼻水が過剰に分泌する
- 痰がからむ、咳が出る
- 鼻血が出る
また、鼻づまりによって以下のような二次的な症状が引き起こされることもあります。
- 夜、寝れないため、疲れが取れない
- 口呼吸になるため、口・喉が渇く
- 集中できないため、勉強・仕事に影響する
鼻づまりの治療
アレルギー性鼻炎
抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬の内服・点鼻薬などによる薬物療法、鼻粘膜焼灼術(レーザー治療)などで治療します。
副鼻腔炎
鼻腔内をきれいにした上で、副鼻腔に抗生物質・ステロイドを送り込むネブライザー治療、マクロライド系抗生物質による薬物療法などを行います。
これらの治療で十分な効果が得られない、鼻ポリープが生じている場合には、内視鏡を用いた内視鏡下副鼻腔手術(ESS)も適応となります。当院では、日帰りでの内視鏡下副鼻腔手術が可能です。
鼻中隔湾曲症
抗ヒスタミン薬・抗アレルギー薬の内服、点鼻薬などによる薬物療法、ネブライザー治療などを行います。根本的な治療のためには、鼻中隔の骨・軟骨を一部切除する「鼻中隔矯正術」と、腫れた鼻粘膜を切除する「粘膜下下鼻甲介切除術」を同時に行う手術療法で対応する必要があります。
アデノイド肥大
通常は6歳以降に年齢を重ねると縮小はしていくものの、縮小が見られない・期待できない場合には、手術が必要になることもあります。
妊娠性鼻炎
妊娠中のため、お薬の内服はできる限り避けます。そのため、点鼻薬などによる治療が中心となります。出産後、鼻粘膜の毛細血管の血行が治まりますので、劇的に回復します。
薬剤性鼻炎
点鼻薬が原因になっている場合には、その使用を中止します。すでに鼻粘膜の肥厚がひどい場合には、手術が必要になることもあります。
異物
異物の除去が必要です。鼻の穴の入口近くであっても、すんなり取れない場合には耳鼻咽喉科を受診してください。
良性腫瘍
良性であっても、鼻づまりなどの症状を起こしている場合には、手術により摘出する必要があります。
悪性腫瘍
高度医療機関での検査・治療が必要になります。提携する医療機関をご紹介します。
若年性鼻咽腔血管線維腫
若い男性によく見られる病気です。提携する高度医療機関をご紹介します。
鼻水、鼻づまりを
解消させるために
自宅でできるケア
夜中に鼻水・鼻づまりが起こって困ってしまったとき、どうしてもすぐに受診できないとき、ご自宅でのケアである程度症状を和らげることができます。
以下の「あたためる」「吸い取る」「拭く」の3つの方法は、多くの方がご存じではあるかと思いますが、注意点を含めて改めてご紹介します。
あたためる
お風呂に入って身体があたたまると、血行が良くなり鼻づまりが解消されます。
水で濡らして絞ったタオルをレンジで1分ほどあたためて蒸しタオルにして、鼻をあたためるのも効果的です。(火傷にご注意ください)
吸い取る
市販されている鼻吸い器を使用します。スポイトで鼻水を吸い取る方法でも構いません。
拭く
お子様向けの対処法です。濡れティッシュなどで鼻の穴のまわりの鼻水を拭き取ったり、鼻に詰めたティッシュを回転させながら引き抜く方法などがあります。こよりで鼻をくすぐりくしゃみをさせるのも1つの方法です。
鼻のまわりを拭いたときは、最後に保湿剤を塗ってあげてください。
鼻づまり解消の裏ワザ
(※個人差はあります)
以下のような鼻づまり解消法もあります。個人差はありますが、お困りの際には一度お試しください。
食べ物&飲料
アジ・イワシ・サンマ
いわゆる青魚です。DHAやEPAが、アレルギー性の鼻づまりを軽減すると言われています。
しそ
ルテリオンと呼ばれる成分には、炎症を抑える効果があると言われています。
炭酸飲料
炭酸入りの飲み物には、鼻づまりを軽減する効果が期待できます。ゆっくりと、少量ずつ飲むのがポイントです。
緑茶
カテキン成分には、アレルギー症状を和らげる効果あります。鼻づまり、目のかゆみといった症状の軽減が期待できます。
体操やツボなど
体操・ボールでの交感神経の刺激
身体の後ろで、手のひらが上になるように両手指を組みます(特に薬指と小指をしっかりと)。手のひらを親指側から裏返し、後方に向け、腕を伸ばします。この姿勢を20秒間維持します。小指から胸にかけての筋肉に緊張を持たせることで交感神経が刺激され、鼻の通りが良くなります。
ボールを腋に挟む方法でも交感神経が刺激され、同様の効果が期待できます。ボールは、鼻づまりがある鼻とは反対側の腋に挟んでください。
ツボ刺激
小鼻の横の「迎香(げいこう)」、そのすぐ上にある「上迎香(じょうげいこう)」を痛くない程度に押すと、鼻づまりやくしゃみの軽減に効果があると言われています。
子供が鼻づまりで寝れない時のオススメ解消方法
蒸しタオルで鼻をあたためる
濡れタオルをしぼり、1分ほど電子レンジにかけると蒸しタオルができます。これを鼻にのせてあたためることで、鼻の通りが良くなります。(火傷にご注意ください)
部屋の加湿
乾燥していると、鼻づまりなどの鼻の症状、咳症状などが強くなります。加湿器などを活用して、湿度を40~60%に調整しましょう。
首・手首・足首をあたためる
ネックウォーマーやレッグウォーマー、タオルなどを活用して、首・手首・足首をあたためます。
市販の鼻吸い器を使用する
家庭用の鼻吸い器が市販されていますので、それを使って鼻水を吸います。
上体をやや起こして寝る
使わない掛け布団やクッションを活用して、上体を少しだけ高くして眠ると、鼻づまりが起こりにくくなります。