副鼻腔炎(蓄膿症)
副鼻腔炎(蓄膿症)とは
一般的に「蓄膿症」と呼ばれ、副鼻腔に膿が溜まって炎症を起こす疾患です。多くの場合、急性副鼻腔炎が慢性化して発症します。急性副鼻腔炎は薬物療法で比較的短期間のうちによくなりますが、炎症がおさまらずに長引くと膿を排出する粘膜の機能がなかなか回復せず、細菌感染が加わってよけいに炎症が治りにくい状態(慢性副鼻腔炎)となります。
かつては栄養不足や不衛生などによる細菌感染で副鼻腔炎がよくみられましたが、食生活の質の向上や医療の進歩などにより患者数が減少しています。ただし、現在ではアレルギーが関与している副鼻腔炎が増えてきているため、アレルギー治療を並行しなければいけないケースもあります。
治療方法
鼻腔内に溜まった鼻汁や膿を吸引してきれいに清掃する鼻腔内清掃や抗生物質やステロイドを副鼻腔に送り込むネブライザー治療のほか、マクロライド系抗生物質を少量、長期間投与する薬物療法などを行います。これらの治療でも症状が改善されない場合や、ポリープ(鼻茸)ができたり、粘膜が変性して通り道を塞いでしまったりしている場合などには手術が必要となります。現在、鼻内より内視鏡を使って手術を行う内視鏡下副鼻腔手術(ESS)が主流となっています。
大阪市旭区の泉川クリニックでは、日帰りで「内視鏡下副鼻腔手術(ESS)」を受けて頂くことができます。
アレルギー性鼻炎
アレルギー性鼻炎とは
外部から侵入してきた細菌やウイルスなどから体を守るための反応を「免疫反応」と言います。この免疫反応が、本来、体にほとんど無害なはずの埃やダニ、花粉などに対して過剰に反応することをアレルギー反応と言い、くしゃみ、鼻漏、鼻づまりなどの反応が起こるのがアレルギー性鼻炎です。
アレルギー性鼻炎を引き起こす原因物質(アレルゲン)にはスギなどの花粉、ハウスダスト、カビなどがあり、最近では特にスギ花粉によるものが増えています。
主な症状
- くしゃみ
- 鼻漏(鼻汁が出る)
- 鼻づまり
など
治療方法
抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬の内服、点鼻薬などの薬物療法で症状をコントロールするほか、重症の場合には鼻粘膜焼灼術などのレーザー治療を行うこともあります。鼻の粘膜を焼灼することでアレルギー反応を起こしにくくしたり、鼻腔にある下鼻甲介の粘膜の下を走行する神経だけを切断したりして、アレルギー反応を起こしにくくします。
花粉症
花粉症とは
アレルギー性鼻炎には、1年中症状が現れる「通年性アレルギー性鼻炎」と、特定の季節にだけ現れる「季節性アレルギー性鼻炎」とがあります。季節性アレルギー性鼻炎は花粉が飛ぶ時期にだけ症状が現れることから、一般的に「花粉症」と呼ばれています。
季節性アレルギー性鼻炎の原因物質(アレルゲン)として、スギ花粉、ヒノキ花粉、カモガヤなどのイネ科植物の花粉、ブタクサやヨモギなどのキク科植物の花粉などがあります。
主な症状
- くしゃみ
- 鼻漏(鼻汁が出る)
- 鼻づまり
など
治療方法
抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬の内服、点鼻薬などの薬物療法で症状をコントロールするほか、重症の場合には下甲介焼灼術というレーザー治療を行うこともあります。下甲介の表面を焼灼することでアレルギー反応を起こしにくくします。
大阪市旭区の泉川クリニックでは、日帰りで「下甲介焼灼術」を受けて頂くことができます。
鼻中隔湾曲症
鼻中隔湾曲症とは
鼻中隔とは鼻の穴を左右に隔てている壁のことで、これの湾曲の度合いが強いことで鼻づまりやいびき、嗅覚異常などの症状が慢性的に現れる状態を鼻中隔湾曲症と言います。思春期までの成長過程で成長スピードの速い鼻中隔の軟骨(鼻中隔軟骨、篩骨正中板、鋤骨)が、成長スピードの異なる他の骨と位置を合わせようとすることで鼻中隔が湾曲してしまいます。打撲や骨折などの外傷が原因で湾曲してしまうケースもあります。
鼻中隔は大人の方であればほとんど場合、左右どちらからに湾曲していますが、症状を感じることがなければ特に問題はありません。しかし、風邪やアレルギーでもないのに慢性的に鼻づまりで悩んでいるという方は、鼻中隔湾曲症の可能性がありますので一度当クリニックへ相談されることをおすすめします。
主な症状
- 鼻づまり
- いびき
- 嗅覚異常
- 鼻出血
- 頭痛・頭重感
- 眠りが浅くなる
- 集中力の低下
など
治療方法
抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬の内服、点鼻薬、ネブライザー治療などで症状を改善させるほか、湾曲した軟骨を矯正する鼻中隔矯正術と腫れた鼻粘膜を切除する粘膜下下鼻甲介切除術を行う場合もあります(これらは同時に行います)。
大阪市旭区の泉川クリニックでは、日帰りで「鼻中隔矯正術」及び「粘膜下下鼻甲介切除術」を受けて頂くことができます。
副鼻腔腫瘍
副鼻腔腫瘍とは
副鼻腔腫瘍とは、鼻の中や周囲にできる腫瘍のことです。ヒトパピローマウイルス(HPV)への感染や、金属などの粉塵を吸い込むことなどが影響して発症すると考えられており、特に50~60代の男性に多くみられます。
腫瘍は良性と悪性とに分けられ、悪性腫瘍はいわゆる「がん」と同じ意味です。副鼻腔にできる良性腫瘍には乳頭腫、血管腫 多形線腫などがあり、悪性腫瘍には上顎癌、篩骨洞癌、前頭洞癌、悪性リンパ腫などがあります。初期にはほとんど症状は現れませんが、腫瘍が鼻腔に広がると鼻づまり、鼻漏、鼻出血などの症状が現れることがあります。
主な症状
- 鼻づまり
- 鼻漏(鼻汁が出る)
- 鼻出血
- 顔面の腫れ
- ものが二重に見える・見えづらくなる
など
治療方法
副鼻腔腫瘍に対しては、通常、手術による治療が行われます。腫瘍の広がりに応じて、鼻内より内視鏡を使って手術を行う内視鏡下副鼻腔手術(ESS)などの方法が選択されます。
好酸球性副鼻腔炎
好酸球性副鼻腔炎とは
細菌感染で起こる通常の副鼻腔炎とは異なり、好酸球性副鼻腔炎は白血球の1つである好酸球が鼻や副鼻腔の粘膜に浸潤することで発症します。気管支喘息や薬物アレルギーの方などが発症しやすいとされており、平成27年に指定難病となりました。
主な症状
- 鼻漏(鼻汁が出る)
- 鼻づまり
- 嗅覚異常
など
治療方法
好酸球を抑える抗ロイコトルエン薬や、ステロイドなどの点鼻薬で症状を改善させるほか、効果が得られない場合にはステロイドの内服を短期間行うこともあります。
これらの薬物療法で症状が改善しない場合には、内視鏡下の外科的処置が必要となるケースもあります。