メニエール病とは
メニエール病とは、回転性めまいを主な症状とし、10分~数時間の発作を繰り返す病気です。その他、難聴、耳鳴り、耳閉感などの症状も見られます。
発作を繰り返すことで、症状が徐々に強くなることもあります。
症状
メニエール病の多くは、以下のような経過を辿ります。
初期
低音の聞こえづらさ、耳鳴り、耳閉感などの症状が発作的に現れます。
活動期
上記の症状に回転性めまいが加わり、発作的に強く現れます。
めまいの前後に難聴が出始め、めまいが引くと難聴も軽くなるということが多くなります。
活動期は、数カ月~1年続きます。
慢性期
数カ月に1回程度の頻度で発作が起こる時期です。
主な症状は、難聴、耳鳴りです。ただ、めまいを伴う発作がトラウマとなり、人と会ったり外に出ることが難しくなる方もいらっしゃいます。
原因とメカニズム
メニエール病の原因は、内耳の三半規管と蝸牛を満たす内リンパ液が過剰になることで、三半規管・蝸牛の働きが低下することにあると言われています。三半規管の障害によってめまいが、蝸牛の障害によって難聴・耳鳴りが起こります。
なぜ内リンパ液が過剰になるのかについては、はっきりしたことが分かっていません。しかし、ストレスやストレスを受けやすい性格(几帳面・真面目)、過労などが関与しているとの指摘があります。
メニエール病は女性の方が
かかりやすい?
メニエール病は、40~60代の、特に女性によく発症します。
また、大きなストレスを抱えやすい几帳面な人、真面目な人は、そうでない人と比べると発症のリスクが高くなると言われています。
メニエール病と
突発性難聴の違い
回転性めまい、難聴、耳鳴りなど、メニエール病と突発性難聴は共通する症状を持ちます。ただ、よく症状を観察すると以下のような違いが見られます。
メニエール病 | メニエール病 | |
めまいの特徴 | 10分~数時間の発作的な回転性めまい | 回転性めまいが続く。但し、めまいがないことも |
難聴の特徴 | 低音難聴から始まる | ある日突然の難聴 |
繰り返しの発作 | ある | ない |
メニエール病・突発性難聴はどちらも治療が必要ですが、特に突発性難聴は、発症後すぐに適切な治療を受けられるかどうかで、予後が大きく変わります。
どちらか分からないという時も、放置せずお早めにご相談ください。
検査方法
聴力検査
メニエール病の場合、初期には低音難聴が認められます。その後進行すると、高音含め、聞こえが低下することがあります。
眼振検査
めまいがある時には、フレンツェル眼鏡という特殊な検査用眼鏡を用いて、無自覚の眼球の震えの有無を確認する眼振検査を行います。
重心動揺検査
目を開けた状態、閉じた状態それぞれにおける身体のバランスを調べる検査です。
画像検査
造影剤を飲んでMRI検査を行うことで、内リンパ水腫の評価ができます。
治療方法
薬物療法
内リンパ水腫を軽減する薬、抗めまい薬を主に使用します。
その他、吐き気止め、精神安定剤、循環改善薬、ビタミン剤などを、症状に合わせて処方します。
生活習慣の改善
メニエール病は、ストレスや疲労などの関与が指摘されています。
ストレス・疲労の軽減、食事・運動・睡眠などについての生活習慣の改善を図ります。
中耳加圧療法
難治性のメニエール病に対して、2018年から保険適用となった治療です。専用の装置から伸びるチューブを耳の穴に挿し、朝・晩の2回、3分間ずつ加圧します。
装置はレンタルし、ご自宅で受けていただけます。
手術
難治性のメニエール病に対しては、鼓膜換気チューブ挿入術、内リンパ嚢解放術、前庭神経切除術などの手術を行うこともあります。
メニエール病は生活習慣の
見直しが改善・治療に
繋がります
他のめまいの場合、できるだけ頭を動かさずに安静にしている必要がありますが、良性発作性頭位めまい症の場合には、積極的に頭を動かして剥がれた耳石を排出することで改善できる場合があります。ただし、むやみやたらと頭を動かしてはかえって症状が悪化する場合がありますので、医師の指導のもと適切に行うようにしましょう。