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鼓膜切開術(滲出性中耳炎)

鼓膜切開術とは

鼓膜切開術とは、急性中耳炎や滲出性中耳炎などにより鼓膜の奥で膿が溜まって炎症や痛み、難聴などの症状がある場合に、鼓膜に小さな孔を開けて膿や浸出液を吸引する手術です。鼓膜の奥に多量の膿や浸出液が貯留した時、激しい痛みなどをともなうことがあり、こうした状態になると内服薬などにより薬物療法では改善できない場合があります。そのため、外科的処置により溜まった膿や浸出液を細い吸引管で吸引して排出させ、症状を改善に導きます。鼓膜切開術を行うことで、急性中耳炎では耳痛や発熱などの急性炎症の症状、滲出性中耳炎では難聴などの早期改善をはかることが可能となります。
鼓膜に開けた孔は通常、数日以内に閉鎖し、閉鎖後も聴力が低下するなどの後遺症が現れることはほとんどありません。手術は2~3分程度終わりますので、日帰りで受けて頂くことができます。

急性中耳炎病態

急性中耳炎治療後

鼓膜切開術の適応

急性中耳炎により鼓膜の奥に多量の膿が溜まり、炎症や痛みなどがある場合や、中耳炎が何度も繰り返し起こる場合、滲出性中耳炎により鼓膜の奥に滲出液が溜まって薬物療法では改善が見込めない場合などに適応となります。

鼓膜切開術の流れ

1局所麻酔

外耳道に局所麻酔液を注入し、弱電流を10分程度通電させて麻酔液を鼓膜表面と外耳道に浸透させます(イオントフォレーゼ法)。これにより、ほとんど無痛で手術を受けることが可能となります。

2鼓膜切開

局所麻酔を施した後、レーザーで鼓膜に小さな孔を開けます。切開そのものは数秒程度で終わります。この時、鼓膜の向こう側にある鼓室内は圧が高まっているため、孔を開けると同時に膿や滲出液が排出されます。

3吸引・排出

細い吸引管を使って切開した孔から膿や滲出液を吸引します。

4手術終了

膿や滲出液を吸引すると、痛みや腫れなどの症状が治まります。鼓膜は再生力が強いので、開けた孔は通常、数日程度で自然に塞がります。1回の手術で治らなかった場合でも、繰り返し手術を受けて頂くことができます。
術後当日は耳の中に水が入らないようにしてください。また、激しい運動もお控えください。水泳も医師の許可が出るまでは禁止です。術後もしばらくは耳垂れが出る場合がありますので、完治するまで中耳炎の治療を継続するようにしましょう。
鼓膜切開手術を行っても急性中耳炎や滲出性中耳炎を繰り返すような時には、鼓膜チューブ留置術を検討する必要があります。