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甲状腺機能亢進症

甲状腺機能亢進症とは

甲状腺機能亢進症とは甲状腺機能亢進症とは、のど仏のすぐ下にある「甲状腺」の機能が活発化(亢進)し、甲状腺ホルモンが過剰に分泌される状態を指します。甲状腺ホルモンには新陳代謝を促進したり、神経を調整したりする働きがあるため、動悸、震え、多汗、体重減少、眼球突出などさまざまな症状が引き起こされます。甲状腺機能亢進症の代表的な原因疾患に、バセドウ病があります。

症状

  • 動悸、不整脈
  • 血圧上昇
  • 疲れやすい
  • 不眠
  • 食欲亢進と体重減少(食べても痩せる)
  • 多汗、暑がり、火照り
  • 手の震え
  • 眼球突出
  • 神経過敏、不安
  • 下痢
  • 脱毛
  • 生理不順
  • 甲状腺の腫れ

上記のように、さまざまな症状が見られます。眼球突出はバセドウ病の症状としてよく知られていますが、発現率は3割程度です。

原因と主な疾患

主にバセドウ病などの甲状腺疾患によって、血液中の甲状腺ホルモンの量が過剰になることが直接の原因となります。

主な疾患

代表的な原因疾患としては、バセドウ病が挙げられます。本来は身体を守ってくれるはずの免疫が甲状腺を刺激し、甲状腺ホルモンの過剰な分泌を引き起こします。なぜこのような免疫の異常が起こるのかという根本的な原因については、はっきりしたことが分かっていません。ただし、しばしば親から子へと遺伝します。
その他、甲状腺炎、甲状腺腫瘍、脳腫瘍などが原因になることもあります。

甲状腺機能亢進症に
なりやすい人はどんな人?

甲状腺機能亢進症になりやすい人はどんな人?原因疾患として大部分を占めるバセドウ病は、20~40代の女性によく見られます。
またバセドウ病は、一定の遺伝性が認められます。バセドウ病の血縁者がいる人は、そうでない人と比べるとバセドウ病および甲状腺機能亢進症のリスクが高くなると言えます。

検査・診断方法

問診・診察の上、血液検査、超音波検査を行い、診断します。

血液検査

血液検査バセドウ病の場合、甲状腺ホルモンの値が高く、甲状腺刺激ホルモンの値が低くなります。
また、抗TSHレセプター抗体の値なども確認します。

超音波検査

プローブを首に当て、超音波検査を行います。
甲状腺の大きさ、内部の状態を確認します。バセドウ病の場合は、甲状腺の腫れ、内部の不均質が認められます。
その他、脳腫瘍が疑われる場合など、CT検査・MRI検査が行われることもあります。

治療方法

バセドウ病を原因とする甲状腺機能亢進症の場合には、以下のような治療を行います。

薬物療法

薬物療法診断後、一般的にまず行われるのが薬物療法です。ホルモンを抑制する抗甲状腺薬の内服が主となります。
基本的に1~2年ほどの内服が必要になります。また、治療の評価、薬の量の調整のため、定期的な血液検査を行います。

ラジオアイソトープ治療

アメリカなどで第一選択となっている治療です。
ラジオアイソトープ(放射性ヨウ素)を詰めたカプセルを1回飲み、半年後に効果を判定するとういう簡単な治療です。
甲状腺組織がヨウ素を取り込む性質を持つことを利用した治療であり、甲状腺の内側から放射線を当てることで、甲状腺の細胞の数の減少、甲状腺ホルモンの産生の抑制を図ります。
ただし、眼球突出を伴う方はその悪化が、妊婦さん・授乳婦さんは赤ちゃんの健康への影響が懸念されるため、適応外となります。

手術

甲状腺を一部だけ残し、切除する手術を行います。甲状腺の腫れがひどい場合、腫瘍がある場合、薬物療法・ラジオアイソトープ治療の適応外となった場合などに行われます。
短期間で効果が得られる、確実性の高い治療と言えます。

甲状腺機能亢進症の方に
おすすめの食事

甲状腺機能亢進症の症状の1つに、食欲亢進と体重減少(食べても痩せる)があります。
治療開始後しばらくすると、過剰になっていた代謝が元に戻り、太ってしまうケースが少なくありません。また、食べ物によっては症状を悪化させてしまうことがあります。
治療中は、以下のような点に気をつけるようにしましょう。

カロリーコントロール

肥満は、生活習慣病などさまざまな病気のリスクを高めます。
性別、体格、運動量にもよりますが、1日の摂取カロリーは1,200~1,500kcl程度に収めましょう。

栄養バランスの良い食事

治療開始直後は、甲状腺ホルモンの分泌がまだ過剰です。特に不足しがちなビタミンA、ビタミンB群、ミネラルを意識して摂取しましょう。またミネラルの1つである亜鉛は、甲状腺機能の正常化を助けてくれます。

3食を規則正しく摂る

3食をできるだけ毎日決まった時間に摂るようにしましょう。起床時間や就寝時間を含めた生活リズムの改善は、免疫の働きの正常化を助けます。

小まめな水分補給

多汗、暑がり、火照りなどが続く間は、特に意識して、小まめに水分を摂取しましょう。

刺激物・喫煙・飲酒を控える

唐辛子や香辛料などの刺激物、喫煙、飲酒は、いずれも甲状腺機能が亢進する原因となります。
できる限り、控えましょう。