鼓膜穿孔閉鎖術とは
鼓膜に穿孔ができる疾患には慢性中耳炎や鼓膜の外傷などがあります。鼓膜に孔が開いたままだと、そこから細菌が侵入して耳漏が出やすくなったり、孔が大きくなって聞こえにくくなったりすることがあります。
鼓膜の穿孔を塞ぐ方法として「鼓室形成術」や「鼓膜形成術」などがありますが、少し大がかりな治療が必要となります。一方、当クリニックが行っております「鼓膜穿孔閉鎖術」であれば、日帰りで受けて頂くことが可能ですし、体への負担も少なくて済みます。
鼓膜穿孔閉鎖術では、鼓膜穿孔のまわりをレーザーで新鮮化した後、人工鼓膜(アテロコラーゲン)を挿入して孔を塞ぎます。手術時間は麻酔も含めて20分程度です。手術の成功率は従来の方法と比べて低いとされていましたが、最近では改良されて成功する確率が高くなっています。
鼓膜穿孔閉鎖術の適応
パッチ(人工膜で鼓膜の穴を閉鎖する方法)を行って聴力が改善された場合には、鼓膜穿孔閉鎖術が適応となります。そのほか、慢性中耳炎により耳垂れを繰り返す方、孔が比較的小さい方なども適応となります(孔が大きい場合には鼓膜形成術が必要となります)。
鼓膜穿孔閉鎖術の流れ
1局所麻酔
鼓膜に小綿玉をあてて局所麻酔を施します。
2トリミング
レーザーなどにより、鼓膜穿孔周辺の不良上皮を新鮮化します。
3穿孔閉鎖
鼓膜の孔に人工鼓膜(アテロコラーゲン)を挿入して塞ぎます。
4手術終了
手術時間は麻酔も含めて20分程度です。術後、週に1回のペースで通院して頂き経過観察します。なお、挿入した人工鼓膜がずれる恐れがありますので、経過観察中はできるだけくしゃみをしない、鼻をかまない(どうしてもかみたい時には片方ずつ)、水泳をしないなどのことに注意してください。