耳から血が出てお困りの方へ
耳の皮膚は、軽い刺激でも傷ついてしまいます。耳かきで外耳道が傷つき、血が出ることもあります。
病状の程度はともかく、何からの異常が起こっていることには違いありませんので、できるだけ早めにご相談ください。
症状&原因
耳介(外に見えている部分)からの出血の場合
指で耳を触ってみると分かる通り、その皮膚は非常に薄くできています。ちょっとしたことで傷つき、思わぬ量の出血が見られることがあります。小さな傷でも感染のリスクがあり、特に耳介軟骨膜炎などを発症すると、耳介の変形も起こり得ます。
外耳道からの出血の場合
耳かき、平手打ちなどの刺激によって傷つき、出血します。外耳炎の場合には、鮮やかな赤い色の血が見られます。糖尿病や免疫系の疾患がある場合には、再発のリスクが高くなります。
その他、外耳道湿疹によって出血することもあります。この場合は、耳だれを伴うことが多くなります。
鼓膜からの出血の場合
外耳道の出血と同様、耳かき、平手打ちなどを原因とします。激しい痛みを伴います。
鼓膜そのものからの出血量はそう多くありませんが、同時に外耳道も傷ついている場合には、出血量も多くなります。
中耳からの出血の場合
中耳炎が主な原因です。出血量はそれほど多くありません。完治しないまま放置すると再発を繰り返し慢性化します。耳だれに血が混じっていることもあり、その場合は真珠腫性中耳炎も疑われます。
内耳からの出血の場合
事故などによる側頭骨骨折が疑われます。出血量はわずかなものとなりますが、すぐに救急外来を受診する必要があります。
治療法
耳介の傷
清潔なガーゼ、なければ清潔なタオルなどで止血し、すぐに耳鼻咽喉科を受診しましょう。
小さな傷でも感染のリスクがあります。
耳介軟骨膜炎
清潔なガーゼなどで止血し、患部を冷やして腫れを抑え、耳鼻咽喉科を受診しましょう。
炎症を抑えるための抗生剤・消炎鎮痛剤の他、ステロイドの塗布・注射が必要になることもあります。
外耳炎
消毒の後、抗生剤・副腎皮質ステロイド軟膏などを使用します。
外耳道湿疹
ステロイド軟膏、抗アレルギー薬、抗ヒスタミン薬などを使用します。また、原因にシャンプーや化粧品が疑われる場合にはその使用を中止します。
鼓膜穿孔
鼓膜は数日程度で再生し、出血も自然に止まります。稀に穴が再生しないこともあり、その場合には鼓膜形成術を行います。
中耳炎
中耳をきれいにし、止血します。真珠腫性中耳炎、癒着性中耳炎へと進展した場合には、鼓室形成術などの手術が必要になります。